友達の家に遊びに行く。
子どもは、そのときを楽しみにしていた。
「友達のお家に遊びに行くよ!」
と伝えたときは、「ヤッター!ヤッター!」と飛び跳ねるくらい、待ち遠しい予定だった。
ところが、急きょ相手の都合で予定が変わり、遊びに行くのは翌日になった。
「今日は行けなくなっちゃった、ごめんね。明日は行けるよ」
そう伝えた瞬間、子どもの眉は吊り上がる。
「今日行くの!」
怒りだす。
そして、物が飛んだ。
予定変更クエスト、発生である。
長くなるので先に書いておくと、この日うまくいったのは「投げるのを止めること」ではなく、「場所を変えること」でした。母ちゃんの攻略失敗から、逆転までの一部始終です。
母ちゃん、「投げません」で正面突破へ
楽しみにしていたんだから、そりゃ嫌だよね。
明日行けると言われても、今すぐ遊びに行きたかった気持ちの行き場がない。
悲しくて怒るのはわかる。
わかるけれど、物を投げるのは危ない。
そのコマンドは発動してほしくない。
母ちゃんもどうしたらいいのかわからないまま、とにかく危ないことだけは止めようとした。
「投げないよ」
そう言って、手を止める。
すると、さらに怒った。
もう一度止める。
さらに怒る。
止める。
怒る。
止める。
怒る。
母ちゃんも、
「どうしたら伝わるんだ」
と焦ってくる。
でも、止めるほど怒っている。
そして最終的に、
母ちゃんにタックル。
……。
母ちゃん、クエスト攻略失敗。
父ちゃん、違うコマンドを選ぶ
ここで父ちゃんが登場した。
母ちゃんと同じように「投げないよ」と止めるのかと思ったら、
「買い物に行こう」
あれ、違う。
戦ってすらいない。
母ちゃんが目の前の行動を止めるのに必死になっている間に、
父ちゃんはいったん場所を変える作戦を選んだ。
最初はまだ怒っていた。
それでも、好きなアイスを買えるとわかると、少しずつ表情が変わった。
買い物へ行くために車に乗る。
少しずつ、あふれ出ていた感情が落ち着いてくる。
アイスを食べる。
そのころにはすっかり落ち着いて、さっきまでの怒りは過去のものになっていた。
「明日、友達の家に行こうね!」
に切り替わった。
……クエスト、やっと終わった。
さっきまで家で正面から全力で戦っていた母ちゃんは何だったのだ。
アイスが「伝説のアイテム」だったわけではない
こう書くと、
「怒ったら好きなものを買ってあげればいいの?」
となりそうだけれど、そういう話ではない。
次の日もアイスが効くのかは知らない。
むしろ、効かないかもしれない。
この日はたまたま、
「買い物へ行って、好きなアイスを食べる」
という次の楽しみが、気持ちを切り替えるきっかけになった。
我が家で、この日に効いたアイテム。
それくらいに考えている。
「投げちゃダメ」は、どこへ行った
もちろん、物を投げていいことになったわけではない。
危ないものは危ない。
ただ、今回やってみて、
「してはいけないことを伝える」と、
「怒りの真っ最中をどうやって切り抜けるか」は、
別のクエストなのかもしれないと思った。
怒っている最中は、子ども自身も気持ちを持て余している。
楽しみにしていた予定がなくなった悲しさ。
今日行きたかった悔しさ。
明日まで待つもどかしさ。
いろいろな気持ちが混ざって、物を投げるという形で出ていたのかもしれない。
そんなときに、
「物を投げない!」
と伝え続けても、この日は届かなかった。
そこで母ちゃん、
最近は、まず危ない場所から移動することを考えるようになった。
落ち着いてから伝えられることは、落ち着いてからでもいい。
……とは思いつつ、
母ちゃんとしては、忘れないうちに言っておきたい気持ちもある。
そこはまだ、修行中。
少なくとも我が家では、怒りの真っ最中に伝え続けるより、いったん落ち着くのを待ったほうがうまくいく場面がある。
母ちゃんが勝てないなら、交代すればいい
この日、もうひとつ気づいたことがある。
母ちゃんは、
「危ない行動を止める」
というコマンドを選んだ。
父ちゃんは、
「場所を変える」
というコマンドを選んだ。
同じ場面を見ているのに、選んだ方法はまったく違った。
そして、この日は父ちゃんのコマンドがハマった。
別の日なら逆かもしれない。
父ちゃんがどうにもならなくて、母ちゃんに交代する日もある。
我が家、全員ちょっと仕様が違う。
考え方も、得意なことも、困るところも違う。
だから、全員が同じ攻略法を使わなくていい。
ひとりで抱え込まず、家族で交代する。
ひとりで勝てないクエストは、仲間に任せる。
家族というパーティーで、今日も我が家は暮らしを攻略していく。
※この記事は、我が家で実際に起きた出来事と、その後に試している方法を書いたものです。すべての子どもに同じ方法が合うという意味ではありません。
